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    人間主役の数寄屋づくり・『市販の材料と不揃いの美意識』で造る1  
 
    『数寄屋』とは草庵茶室 『物の不足を心の豊かさで補う=自覚と自我でなる町人の茶の湯』が出発点です。
    
(著書 侘び数寄の心でつくる現代の家 風土社刊)を参照下さい。

    不揃いとは『左右非対称』。 『数字で表現すれば、偶数では無く、割り切れぬ奇数』を指す
 

 『柔らかな曲線・起(むく)り屋根を持つ外観』
『住むも人間・つくるも人間』がテーマであればね敷地
 環境との調和は避けられません。隣接地の樹木を背景に
 柔らかな外観を表現する意図で起
(むくり)屋根を選択。
起り屋根とは『仏様に手を合わせた時に生じる自然体の
 姿=なで肩の柔らかな曲線を描く屋根』

◆他方、対称的な反り屋根とは『仁王像が示す怒り肩の姿=お
 城・お寺等、権力者が好む四隅鋭く反り上げた曲線の屋根』
風土に適した住まいづくりの屋根とは、深い軒の出は
 夏場の陽よけに欠せず、更に陰影が彫りの深い外観を
 醸し出す事も又欠かせません。
 
◆当敷地は最初に長男さん宅を造り、次に次男さん宅を造り、
 残地・ 間口約12.5㍍×長さ約36.5㍍の細長変形台形の敷地。
 住宅の 『南外壁面と北外壁面の落差は約900㍉』・『東外壁
 面と西外壁面 との落差も約800㍉』・『平坦地は全く無い2方
 向斜面地』 に造りましたご夫婦の終の住まいです。
 
 『北西面の外観』
   
 
『東側玄関ポーチ凹型(くぼみがた)の外観』
お客様をお迎えする玄関は控えめに1歩下がり入る凹型
 の優雅な方式を選択=外壁から
450㍉下げた位置にアル
 ミ片引き玄関戸を設置+更に窓の木格子に習い木製空格
 子戸付としました。

茨城県内、特に農家住宅の玄関は本体から凸型に突出し
 た玄関が大半です。私は凹型の方が穏やかさに加え陰影
 を伴い彫りの深い風情を醸し出しますから凹型玄関を多
 用しております

窓に木格子付を多用する意図は、1つ。全館冷暖房方式
 の採用でも春と秋の期間は南から風を取り入れ北に抜く
 古来方式を順守。木格子は内部からは見えるが外部から
 は見えがたい上に、防犯的にも安心できる要素を備えて
 います。2つ。木格子は風情のある・優雅な日本家屋を
 演出する要素としても欠かせません。

   
暗い空間だから、壁と天井を敢えて黒一色+中廊下正面の
 水上勾配天井に設置した空格子障子から微かな光明を頂く
 手法+黒無地和紙の戸襖にメリハリのあるよろけ縞紋様の
 キラ刷り京唐紙を選択。
人間・必ず訪れる老いとの調和・幼い孫たちとの生活調
 和も欠かせません。
 
◆床のへり無し畳敷き込みの多用意図は 1つ。危険なス
 リッパ歩行を排除=素足・靴下の生活で危険防止を計り
 たいが主旨。
2つ。掃除がしやすい事。3つ。冬暖かく、
 夏涼しい床材である事。
4つ。隣接のお孫さん達が走り
 廻っても畳自体が消音材であるから静寂さを保てる事。
5
 
つ。高齢者が転んでも骨折し難い床材である事。
 
『窓が全く無い暗い中廊下』
   
 
『黒無地和紙+キラ刷りよろけ縞紋様京唐紙張り戸襖UP画像』
   
◆手前黒壁の中に見える窓は『植物・ヨシ製の下地窓(下地窓とは
 数寄屋造りに用いる窓の1種・利休が左官塗壁下地の塗り残し現
 場を見て、表現したと伝えられている窓=粗末な 竹組左官塗り
 下地を見立てた感性豊かな透か し窓です)。

◆畳と黒壁との境に見える白い帯は黒塗り壁の上から『茨城 県
 産 西ノ内未 晒し和紙を張った腰張り』です。目的は掃除の際
 に掃除機・箒による打撲から塗壁を防御する役目。
 
『中廊下側からWC入口付近を見た画像』