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    人間主役の数寄屋づくり・『市販の材料と不揃いの美意識』で造る2           
 
 
『WC内部から中廊下への出口・紅色和紙張りの戸襖』
◆黒壁・黒和紙張り天井仕上げの中廊下の黒色表現を一転し、
 艶やかなWCに転換させる意図で澄み切った鮮やかな紅色機
 械漉き和紙を引違イ戸襖に張りました。

◆WC内天井に見えますのは 祖母の形見・木綿製黄八丈の着
 物を経師職方が解き天井材に活用・その意図は祖母から孫・ひ
 孫さん達への伝承の品として再活用を試みました。
   
◆画像の左側に見える家具は既存住宅で使用していたカリモク製
 本棚を再活用する為 横幅×奥行×高さを計測した上、計画
 案を作成し、新居に組み込みました。


◆居間1・2に面する戸襖は黒無地色の機械漉き和紙張りでまと
 めました。意図は使用頻度が高い居室、生活に目移り・い
 らだち等が生じず、落ち着いた空間構成を選択しま
した。
 
『手前の居間2から奥の居間1を見た画像』
   
 
『居間1の南面画像』
◆左に見える小さな両開き戸付物入れは、この部屋で用いる
 ノートパソコンとFAXコピー機を普段は収納して置き、スライド
 方式で引き出し使用する造り付の家具です。障子の上に見え
 る四角形3ケは全館冷暖房用の吹き出し口です。
   
◆和紙の表と裏を交互に張り合わせた市松紋様張りの様子がお
 判りでしょうか・・・?。
◆居間1の有効広さは15帖+居間2の有効広さは8帖=合計23帖
 のワンルーム式の天井を静かで落ち着きのある空間を構成す
 る意図で未晒し和紙天井を選択。しかし のっぺりの無表情も又
 味気がなく、『同じ素材の表・裏を使い分け、ほんの少し変化した
 空間』を演出しました。
未晒し手漉き和紙とは、茨城県産の西ノ内 原料は楮(こう
 ぞ
)製和紙で晒粉を一切使用せず制作した紙。晒粉無しです
 が、経年変化と共に、自浄能力にて自ら漂白作業を行う・長
 期使用に耐えられる優れた和紙です。他方市販の和紙の大半
 は原料が木材パルプ+晒粉を使用するから、経年変化と共に
 黄ばんで行き、障子紙は縦桟付近から裂けてしまう紙です
 
『居間1の天井面をUPした画像』
   
 
『居間2に設置・床の間』
画像11は居間2に設置しました間口幅13655㍉・背面
 壁にある柱を見せない手法=背面コーナーを曲線で柔ら
 かく塗り回し方式の小さな床の間です。
 

世界に類の少ない四季という季節を持つ国・日本人は千
 年以上前から四季折々の植物を生活の中に取り込み人間
 らしい暮らし方を営んで今日に至っております。四季を
 楽しむコーナーが床の間なのです。
   
◆数寄屋造りですが、高気密・高外張り断熱・通気構法+8帖用
 クーラー×2台による全館冷暖房+全熱交換式換気システム
 搭載の省エネ住宅です。私のブログ『2016年2月29日投稿8帖
 用クーラー×2台で延床42.4坪の平屋住宅の全館冷暖房を賄う』
 をご参照下さい。

◆それだけではありません、冷暖房が不必要の春と秋の季節は
 南から風を入れ北に抜く従前方式の住まいです。
 
『ロフトに設置・全館冷暖房用の機械室内部の画像』
   
結びに。
  ◆数寄屋造り・数寄屋住宅と云えば高額な材料を用い、特別秀でた大工職方を始めとする特殊職方達の集団だけが
  造れるものと勘違いされている方々が存在している様子ですが、誤解・誤解・誤解です。

  ◆住むも人間・つくるも人間、即ち『人間を主役に自然素材を多用し、手仕事に徹してつくれば』 数寄屋造り・
  数寄屋住宅は造れます

  ◆確かに34カ月で竣工+工業製品多用し、1年中の何時でも着工出来るそんな無茶な家造りは出来ません。日本の
  風土と風土が育てた自然素材は人間の思い通りにはなりません。必要な時間と手間を省略出来ぬ事をご理解下さい。

  ◆『竣工引き渡し時から補修費用の積み立て開始・10年を過ぎればリフォームの誘い・20年過ぎれば建て替えの誘
  い』・・この誘いの裏側を冷静・沈着・堅実に分析し熟慮下さい